瓦科では瓦の成分、形、製造工程などの基本的な知識と葺き工事について教えています。


近年建築様式の変化に伴い、伝統的な瓦の他にさまざまな屋根材が登場しました。しかし瓦ほど屋根に適したものはないといわれています。瓦は息をする素材で適当な吸水性が有り、瓦裏にたまった湿気を外に逃がしま

す。ガラスなどの吸水しないものでは、建物内に湿気がたまって屋根の裏が腐る原因になります。


瓦は仏教とともに伝来したので、当初は特殊建造物や寺院にのみ使用されました。江戸時代になると都市ができ、家が密集し始めました。そして燃えやすい藁や板葺きの屋根がひしめきあっている場所で火災が起きると、あっという間に燃え広がり一面丸焼けになりました。このため屋根の上に土や牡蛎貝をおいて防火に努めました。


この頃の瓦葺きは平瓦と丸瓦を組み合わせた本瓦葺が主流でした。

本瓦葺は、平瓦を並べその間をまたぐように丸瓦をのせて、雨が隙間から漏れないようにガードする工法です。しかしこの工法は重量がかかるので、普通の家では支えきれずに潰れてしまいます。そこで考案されたのが平瓦と丸瓦が一体化した桟瓦です。

桟瓦の登場で瓦屋根は庶民にも普及しました。

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金沢では百年程前に国有鉄道が開通した時に瓦屋根が増えました。

当時の蒸気機関車は煙突から火の粉を噴き飛ばしていたので、沿線の家は屋根を不燃材にすること、という条例ができたからです。


明治に入って鉄道ができた頃からは市街地でも瓦葺き屋根が普及しました。

瓦は光沢を出すために粘土を乾燥させてから表面に釉薬が塗られます。

金沢では特に黒色の釉薬が豊富に入手できたので、黒瓦の家が多くなりました。

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本瓦葺の施工は古い文化財や大阪、東海道地域で現在も見られます。

雪の多い北陸地方ではあまりなく、工事を経験する機会も少ないのです。

職人大学校ではその伝統の技を教えています。