建具

建具屋は住宅やお寺の間仕切りを作る職人です。

間仕切りと一口に言っても、襖・障子・扉・窓などさまざまなものがあります。

格子もその一つです。金沢では今でも古い町並みを残す茶屋街などで多くの格子戸が見られます。

昔のものは全て木で作られています。それを修復する場合も当然、木を用いなければなりません。

自然の木を自然のまま使う、その味わいは木でないと表現できません。


建具職人の仕事はまず木を見分けることから始まります。「良い木」でも建具に向くとは限りません。

また一本の木でも陽のあたる面とあたらない面、風のあたる所とあたらない所で材質が違ってきます。

どの部分を建具のどこにどのように使用するか、という判断ができなければなりません。

天然の木は生きています。使い方によっては動いて反ったり曲がったりします。

木の性質を見抜く、木の心がわかる、その技術がなければ長持ちする建具は作れません。



木を削る際にも、繊維の流れを見てカンナをかける方向を決めます。

逆目では欠けたり割れたりして上手く削れません。

カンナをかけたときの音と削り屑で適当な方向を判断し、縦横斜めと削り仕上げていきます。また、板目によって上下があるので、それを見抜いて正しい向きに使用しなければなりません。今は機械を使うので逆目でも削れます。

しかし、機械では板に圧力がかかって目に見えない斑ができ、きれいなつやがでません。素人にはわからない、でも職人にはわかる微妙な違い。さらに厚さ一寸のなかで両方から見てきれいに仕上げる、建具職人の腕の使い所です。



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建具は両面が表のようなものなので、裏から釘で留めるといったことができません。このためパズルのように木を組んで作ります。

計算通りに寸分違わず溝を刻み、組み合わせていく細かい作業です。

その中で、内に光を取り込みつつも外からは見えないように格子を組んだり、桟で模様を描いて贅沢に見せるなどの工夫がされてきました。

手が器用で思考力があって根気強い、そうでなければ職人にはなれませでした。


職人大学校ではこのようにさまざまな技術を若い職人に教えています。

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