大工職人の基本は規矩術です。”さしがね”という直角のものさしを使いこなす技術です。これ一つで掛け算・割算・角度の問題となんでもできます。
今はそのままの直角を活かした使い方が主で、若い職人はたくさんの利用法のうち一部しか知りません。昔の職人はさしがね一本で丸いものから六角・八角のものまで作りました。規矩術は大変奥の深い技なのです。
金沢城の築城にも規矩術が使われました。金沢の大工は得意だったようです。
関西や関東には地組といって、屋根を組む際に一度地面で組んでみて、良い悪いを見てから分解して建てる方法がとられています。しかし金沢の職人は建て前一発勝負。図面をしっかり描いて、規矩術を活用してぴたりと合うように良い具合に木を加工して建てる。
こんな所にも金沢の大工職人の腕の良さが現れています。